2,24 ガチヨミ ~ガチの読書化が集うサイト~ TOP

書評

ユーザー名

user_name

作品名

sakuhin_name

評価


0 投げ銭:


★★★★★ 総合評価:
      星平均:
★★★★★ タイトル:
★★★★★ キャラクターの魅力:
★★★★★ 書き出し:
★★★★★ 中盤:
 ★★★★ 感動(涙):

総評

すごく面白かったです。これだけ壮大のテーマに対して起承転結がしっかりと構成され、落とし所もきちっと決まっていて短編に関わらず圧倒されました。 たいまつバンクが実際にあったら自分は賛成なのか反対なのか?自分の中で少し考えてみました。 何事も上手くいかず、自殺したいと思った思春期。人に迷惑かけることなく綺麗に死んで尚且つ、誰かの役にたてる!思春期の私なら迷わず行ってますね、たいまつバンクに。 でもそんな思春期を乗り越えた今、「あの頃って何であんなに死にたいって考えてたんだろう?大したことない悩みだったのに」と思えます。だから、あの世でたいまつバンクに行ったことを後悔するパターンでしょう。 だから加奈子がやり直せる命をもう一度貰った時、なんだか私も嬉しかったです。 結局、その時その時の状況・感情で正解は変わっていくのでしょう。 でもこういう議論ができる題材の小説、凄く素敵だと思いました。 「もし私が死んだ時、たいまつバンク行ってくれる?」とか家族で話したりして、今回は企画で拝読させてもらいましたがとても身になるストーリーでした。


タイトル・あらすじ

とても良いタイトルだと思います。 生命リサイクルセンター、通称たいまつバンク。 仮にタイトルが「生命リサイクルセンター」となっていたら店頭に並んでいた時、目に付いたとしても少し小難しい内容かなと尻込みすると思います。 しかし、誰もが知っていて容易に想像できるキーワード『たいまつ』と『バンク』の2つの単語を組み合わせることで読者に(たいまつバンク?どんな話だろう)とイメージさせることができ、読者(買い手)の購入のとっかかりとしては◎だと思います。


ストーリー・設定

“命をリサイクル”この近未来に起こりそうな設定、凄く興味を持ちました。 正直、こんな難しそうなテーマを60ページで?!と疑問を持っていましたが綺麗に60ページで起承転結していました。 エリートの真臼が自分を信じ、自分こそが正しいと思いながら日々を過ごし、信じて疑わなかった価値観を信頼していた娘によって壊される。たいまつバンクで失ったものもあったし、だからこそ気づくことができて、皮肉だがたいまつバンクによってまた新しく人生をやり直すチャンスを得る。 小説って文字だけだからこそ自分の頭の中でイメージをしながら読まないといけないのですが、「命をリサイクルできる。そんな日が実際にやってくるかも!」と想像力を掻き立てられてイメージを作りやすかったです。


キャラクターの魅力

【真臼】多少の偏った価値観を持ち合わせているものの真面目でエリート。学生時代の苦い経験を乗り越えて成功を収めているという点では読み手も感情移入しやすく魅力的でした。 【娘】成績優秀だが、思春期特有の親子関係なども垣間見えてその平凡さが(あぁこういう時期私にもあったな)と思えて懐かしさがありました。多分、私の思春期の時にたいまつバンクがあったらこの子とを同じ道を選ぶかもしれないと思いました。 【真臼母】個性的で物語の鍵となる人物でした。最後のところで[真臼を生んだことを後悔した事は1度もない]と手紙に書いてありましたが、(なら、なんで置いて出て行ったのか?)と疑問が残りました。手紙ですべてを語ると薄っぺらな印象になってしまうかもしれないので、実はこういう事情があったみたいな母目線の語りなどを入れてもらえるとすっきりするかなと思います。


書き出し

たいまつバンクの手続き描写でスマートに『たいまつバンクとは何か?』を読み手に説明していて非常に引き込まれた上に分かりやすかったです。 「あくまで単なるルーティンワークなのだから」や「全く親は何してんだ」など何気ない言葉ですが、きちんと印象に残るような構成をしていて終盤にこの言葉たちが真臼自身に突き刺さることになる展開になった時、読み手としても非常に印象に残っていたので真臼と同じくらい刺さりました。


終盤・結末

娘がたいまつバンクにくるんじゃないかっていうのは想像できました。が、その後真臼が命を提供する→娘を生き返らせる→真臼母が真臼を生き返らせるという展開は私の予想をはるかに超えていたので驚きました。 真臼が生き返った時に(もう!絶対奥さん死んでるじゃん!何してんだよ、この家族!)と思ったので60ページの短編でミスリードまで誘えるなんて凄いというのが正直な感想です。


読むのをやめたくなった箇所1

特にありませんでした。


参考になりそうなお勧め書

村田沙耶香の『殺人出産』 権藤さんの他の作品を読んでいないのでこういった近未来の倫理観をテーマにしたジャンルを書かれているのか存じませんが、たいまつバンクを読んだ時、近未来的な倫理観にゾクっとしました。リアルとSFの中間みたいな作品、村田さんのはちょっと気持ち悪い作品ですが私の中で感覚的に似ていると感じたので読んでみてください。


あなたはこの本をどんな人に勧めたいですか?

思春期の学生など自分の存在価値に疑問を抱きたくなる世代。特にページ数も少ないので読書が苦手という人にも受け入れられ易いと思いました。


作家にメッセージ

短編小説は今までもいくつか読んだことがありますがたった60ページでこんなに大きく物語を展開しながらもきちんと着地点があるストーリーは初めてでした! ページを裂けばもちろん良い作品はできると思います。しかし短い中に必要最低限の言葉で小説を紡ぐ権藤さん。たいまつバンクを拝読して、権藤さんの他作品も読んでみたいと思いました!店頭で作品を手にとれる日を心待ちにしています。



Copyright - ガチヨミ ~ガチの読書化が集うサイト~, 2018 All Rights Reserved.